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2007年1月

2007年1月28日 (日)

岩井温泉・明石屋

【2004年4月】

岩井屋、花屋と入浴の後、時間をおいて明石屋に向かう。岩井温泉の3軒の旅館は寄り添うように集まっている。明石屋と花屋が軒を並べ、その向かいに岩井屋という位置。明石屋は岩井温泉街の中で最も大きい。木造3階建のレトロな建物に31室の客室。

「ごめんください。お風呂に入りたいんですが。」

「あれえ、トトロさんじゃないですか。ごぶさたしてます。」

見ると、フロントには鳥取砂丘の某レストランにいたKさん。旅行の仕事でよくお世話になっていた方である。明石屋は仕事の取引があまりなかったからか、転職されているのに気づかなかった。

「今日はまたどうされたんですか?」

「仕事じゃなくて、趣味の温泉めぐり。」

「へえ 温泉お好きだったんですね。ここの湯は源泉掛け流しでいいですよ。」

750円を払って入る。お風呂は、男女別の内湯、混浴の露天風呂、貸し切り湯とバリエーション豊富。まずは内湯に入る。決して新しくはない浴室だが、湯の鮮度は十分。硫酸塩泉は他の2軒と同じ。微かな鉱物臭とまろやかな肌触りを15分間堪能して露天風呂に移る。

Photo_35 露天風呂は庭園の真ん中にある。混浴で湯船の縁には最小限囲っただけの脱衣所。湯船には誰もいないので隅から隅まで移動する。細長くやや曲がった形状なので、ある程度は他人の視線を避けることができ、女性にも入りやすそうな露天風呂。湯口からは50℃近い源泉がそのまま注ぎ込まれているようだ。かなり熱い。湯尻には、ゴムホースを引っ張ってきて水が注ぎ込まれている。源泉は日々微妙に温度変化するので、調整のためだろうが、ただのゴムホースというデリカシーのなさがかえってほほえましく感じた。ただ、一般的にはマイナスポイントだろう。

30分くらい浸かった頃、中年のご夫婦が入りに来られた。私は十分堪能したし、水入らずの入浴(この日本語、ヘン?)のお邪魔はしない方がいいかなと気配り、入れ替わりに出ることにする。

同じく庭園の中に貸し切り湯があったが、さすがに一人で貸し切り湯を借りる気にはならなかった。庭園の中なので雰囲気は良く、家族連れやカップル、女性連れにはおすすめ。

辺りも薄暗くなり始めた頃、ようやく帰る決心をする。 「Kさん、ありがとう。また来るよ。」 

「これから広島まで帰るんですか?せっかくだから泊まって朝早く帰ればいいのに。」

「それは無茶だよ。じゃあね。(⌒0⌒)/~~~」

今回訪れた3軒の旅館は、いずれも良い湯をあるがままの姿でお客様に提供してくれる素晴らしい旅館だった。1300年の古湯、岩井温泉侮り難し。

2007年1月25日 (木)

言い訳

「ツアーに空きができたんだけど、行かない?」 仕事がてんこ盛り状態の私に、悪魔が囁いた。 この悪魔、旅行の仕事をしていた時の同僚である。

「どこ?」

「阿蘇内牧温泉。」

最近コラムに書いている岩井温泉と同じ硫酸塩泉ではないか。コラムというものは書いているうちに温泉の感触を思い出し、無性に入りたくなるものである。

旅行代理店を社内に持つ会社は、こんな時でも休んで行っていい雰囲気になるのが恐ろしい。・・・というわけで忙しいさなか、仕事を休んで週末九州に温泉旅行に行ってしまいました。

当然、しっぺ返しで帰ってみれば仕事がますますてんこ盛り。(号泣)

週明けまでには、新しいコラムを書くつもりです。しばらくお待ちください。

(と書いたものの、待ってる人っているんだろうか(^^;)

2007年1月16日 (火)

岩井温泉・花屋

【2004年4月】

Hanayarobi岩井屋の向かいにある花屋は、平屋建、客室10室だけの小振りな旅館。玄関を入ると帳場(フロントとは呼び難い)と妙に落ち着く和風のロビー。

「ごめんください。お風呂だけ入れますか。」

「いらっしゃいませ。(^0^) もちろんいいですよ。どうぞごゆっくりしていってください。」 と、ご主人。とっても愛想がいい。

Hanayauchiyurotentsuki 入浴料750円を払い浴場に向かう。建物は古く廊下も狭いが、掃除は行き届いていて不快感はない。浴室は男女別にふたつあって入れ替え制。どちらも檜風呂でひとつはそのまま庭に出れば露天風呂もある。私が入ったときは、檜風呂+露天風呂のほうだった。

内湯の檜風呂は正方形で3~4人がちょうどよいくらいの小振りな風呂。湯口から贅沢に湯が注がれ、四方から流れ出している。誰もいない風呂にゆっくり浸かると目の前は庭に向かってガラス張り。眺めも悪くない。

泉質は岩井屋と同様、カルシウム-ナトリウム硫酸塩泉。透明な湯だが、浴槽の隅にはやや茶色を帯びた沈殿物。濃度も高そう。鉱物臭もあり、湯の鮮度は申し分ない。湯温は源泉は50℃近いそうだが、湯船は40℃強とちょうどよい。

Hanayaroten 露天風呂に移る。こちらも贅沢に掛け流されている。湯温はやや低めで40℃弱。開放感と頭寒足熱の効果でいくらでも入っていられる。湯にお盆を浮かべて日本酒をちびちびやるのが似合いそうな雰囲気。

(実際にはやってはいけないと思います^^;)

「ご主人、ゆっくりしていってと言ってたよな。・・・確かに言ってた。」

湯の良い温泉を目の当たりにしたトトロに遠慮の二文字はない。私の入っている間、2組の入浴客が入っては出ていったが、内湯、露天風呂と交互に入りながら、90分以上も楽しんでしまった。

「ごゆっくりでしたねえ。^^ お楽しみいただけましたか。」

「はい。とっても。(* ̄▽ ̄*) 素晴らしい湯ですね。泊まりに来たくなりました。宿泊料はいくらですか?」

「13,000円からやってます。冬場でしたらカニ料理。6~7月の岩牡蠣もおいしいですよ。珍しいところではババア鍋。」

「ババアも使われるんですか。鱈鍋みたいで美味しいですよね。」

「お詳しいですね。この辺の方ではないですよね?」

温泉めぐりの時に前職(ツアープランナー)の話は滅多にしないが、今回は成り行きで名刺を出す。以前この近くで、ばばあ鍋のグルメツアーを企画したこと、巷に溢れるカニツアーの功罪など、旅行業界の話題ひとしきり・・・。

気さくなご主人、素晴らしい温泉、そして料理にも信念をお持ちのようだ。10室しかないが故に行き届いたもてなしが期待できそうな宿。それが花屋の印象である。

2007年1月13日 (土)

岩井温泉・岩井屋

【2004年4月】

岩井温泉が最も栄えたのは大正時代。近くの荒金銅山が採掘されていた頃は岩美駅からは宿泊客を乗せた鉄道が走り、10軒以上の旅館が並ぶ賑やかな温泉街だったという。太平洋戦争以降衰退し、現在、旅館は岩井屋花屋明石屋の3軒のみ。時流に乗ることもなく昔と変わらない営業スタイルが、源泉掛け流しの湯を守る結果になった。この3軒の旅館を紹介していきます。

Iwaiyagaikan 岩井屋は、共同浴場ゆかむり温泉の東隣にある。木造3階建ての小振りな民芸調。古い建物に違いないが、手入れが行き届いていて綺麗。玄関を入り靴を脱いで上がる。廊下はすべて畳敷きで素足のまま歩けるのが心地よい。館内には香が焚かれ、玄関や廊下には民芸品がセンス良く飾られている。

Iwaiyahinokinoyu お風呂は、半地下の長寿の湯と、檜の湯の2カ所。男女入れ替え制になっていて、この日は男性が檜の湯。湯船は檜造りで底には、すのこが敷かれている。湯に浸かると以外に深く1mくらいはありそう。湯口から蕩々と湯が注ぎ込まれ、四方から溢れている贅沢な掛け流し。色は無色透明鉱物臭が湯の鮮度を物語る。湯は非加水、非加熱の源泉そのまま。時々すのこの隙間から泡がボコっと湧き上がってくるので足下からも湧いているのかもしれない。隣のゆかむり温泉と同様、硫酸塩泉だが、肌触りはまろみを強く感じる。やや成分が違うのか。岩井屋の方が心地よい。

和風で落ち着いた館内、上質な湯、ここは団体や小さい子供連れはそぐわない。大人がゆっくりと泊まりに来たくなる宿である。

入浴料 750円

宿泊料 15,000~25,000円(2名1室)

電 話 0857-72-1525

2007年1月 8日 (月)

岩井温泉・共同浴場湯かむり温泉

【2003年4月】

Photo_34鳥取市から国道9号線を東に30分、兵庫県に入る手前に岩井温泉がある。歴史は古く、西暦859年の開湯。京から岩井の地にたどり着いた関白の孫、藤原冬久が皮膚病に苦しんでいた時この湯に浸かり癒したという記述が残っている。また頭に手ぬぐいを乗せ、その上から湯をかける湯かむりという風習でも知られている。共同浴場が新築されたと聞き、出かけてみた。

昭和の風情が残る岩井の家並み。その中心部に真新しい湯かむり温泉ができていた。鉄筋コンクリート造だが、以前のいかにも鉄筋という建物ではなく、白壁に黒瓦葺の仕上げは家並みとの調和に配慮したものであろう。料金は大人300円。新築して100円値上げされているが、この設備にしてこの安さは町営施設ならでは。しかし、肝心なのは湯。新しくできる公共施設は塩素殺菌に変わる事が多い。ここはどうか。

きれいな館内はやはり気持ちいい。脱衣場から浴場へ進むと浴槽がひとつ。露天風呂はない。浴槽は10人以上入れる大きなもの。この日は7人ほどの入浴客。湯に浸かってみる。塩素臭はなく、若干の鉱物臭。これは新鮮な湯である。(⌒ー⌒)vヒット 源泉掛け流しかどうかは確認しなかったが、これだけの鮮度であれば問題ない。

湯温はやや高く源泉47℃、湯船でも42~43℃はありそう。泉質はカルシウム・ナトリウムを含む硫酸塩泉。中国地方では数少ない泉質だと思う。血管拡張効果があり、よく暖まる湯。確かに湯上がり後からだは当分の間ほかほかで湯冷めしない湯だった。色は無色透明。肌触りはアルカリ泉のような際だった特徴はないが、新鮮さとカルシウム分の固さを感じる気持ちの良い湯だった。

施設名にもなっているが、岩井には湯かむりという奇習がある。頭の上に手拭いを乗せ、ひしゃくで頭から湯をかけるらしいのだが、今までやっている人を見たことがない。

「湯かむりって、どんな風習なんですか?」 湯船で隣り合ったおじいさんに聞いてみた。

「昔は、温泉にはいることは療養でもあった。多分成分を少しでもたらだに取り入れるため湯をかぶったんじゃろ。湯かむり唄を唄いながら入ったのも、長く湯に浸かるための知恵じゃと言われとる。」

「なるほど。おじいさんも若い頃はされていたんですか。」

「ワシはやらん。若いけえの。(-^〇^-) ハハハハ」

どう見ても齢(よわい)80という感じだが・・・。

昔ながらの家並みにできた新しい施設だが、入浴客は変わらず近隣の人達が中心。中国地方有数の古湯に自然に溶け込んでいた。

2007年1月 3日 (水)

伊方亀ヶ池温泉

【2007年1月】

今年の温泉入り初めは、愛媛県の佐田岬半島にある伊方亀ヶ池温泉。平成16年に開業したばかりの日帰り温泉施設である。

Photo_27Photo_30 伊予大洲市から国道197号線を佐田岬方面に向かう。八幡浜市街地を抜け、佐田岬半 島へ。伊方町に入り、道の駅伊方きらら館を過ぎ約2km、2つの風力発電用風車を過ぎたところにある十字路を左折し坂道を下ると二見地区という500人ほどの小さな集落。新しい温泉はこの集落にある。

Photo_31 外見はとても質素な建物。入口に料金所があり、中にはおばあちゃんが二人。

「町外の人は200円だよ。」 ちなみに町内者は100円なんだそうだ。脱衣場から浴室にはいると、コンクリート造りの10人くらい入れる浴槽。外Photo_32 観もそうだが、一貫してとってもシンプル・・・を通り越して味も素っ気もない造作。泉質重視で施設には拘らない私でも、平成16年の新築なんだからもう少し何とかできなかったものかと思ってしまう。

肝心の湯は・・・これがなかなか秀逸。源泉は地中1500mから45℃のお湯を汲み上げている。現在は毎分200リットルと浴槽のサイズにしては十分な量。非加熱のままパイプを通じて浴槽の下の方から吹き出しており、排水溝からかけ流されている。温度調節用なのか、加水できるようにもなっているが、この日は源泉のみ。温度は約40℃とちょうど良い。泉質は成分分析表によると、ナトリウム塩化物泉。ph8.4、成分総計1.542g/㎏の弱アルカリ性低張性高温泉となっている。湯の色は薄い黄緑色。ほのかな鉱物臭と若干の塩味。アルカリ性塩化物泉という事で約30分の入浴で肌は見事にすべすべになった。

Photo_33 続いて露天風呂へ。こちらは定員1名の樽風呂。こちらも源泉が贅沢にかけ流されている。大柄の私が入るとザーっと大量の湯が溢れる。アルキメデスの法則を思い出し、100リットル以上の湯を流してしまった事への罪悪感を感じる。本当は内湯でも同じ量の湯を流しているはずなんだが・・・。光の加減か、色は内湯と違いやや白濁。成分総計からして濃い湯ではないのだが、湯の花がふわふわと漂う見た目効きそうな湯。冬の露天風呂は頭寒足熱が心地よくいくらでも入っていられるが、他のお客もいたので長湯で独占はまずいかなと10分弱で出て他の人と入れ替わる。再び内湯へ戻ると湯船にはおじいさんがひとり。

「いやあ良い湯ですねえ。(⌒ー⌒) 」

「ここは3代前の町長がふるさと創生1億円で掘ったのよ。温泉掘る町長は次の選挙で落ちるというジンクスがあるのにの。」

「へえ。で、選挙は?」

「落ちた。」

国敗れて山河あり。選挙に敗れて温泉あり・・・って世の常とは知らなかった。(^^;

おじいさんの話は続く。伊方町はじめ佐田岬半島の各町は産業もなく貧しいこと。この温泉は町営だが、維持費を抑えるため、老人会が運営していること。今年の7月には総工費25億円をかけて、ここの温泉をさらに大規模にリニューアルオープンすること・・・。

産業のない町が、観光産業の目玉に温泉を掘る話はよくある。幸い、伊方町には良質の温泉が出た。この設備を大きくした時、現在の非加熱非加水の掛け流しが維持できるのか、温泉好きの私はとても気になるところ。

ポンプアップの温泉なのでおそらく湧出量は増やせるのだろうが、枯渇という問題もある。欲張らず源泉掛け流しの温泉に特化して、良質の温泉を維持することが肝要。決して地の利があるとは言えない土地で、よくある循環型の温泉にしてしまえば、他の温泉に対して主張できるところがなくなってしまう。

例えば、海の幸は隣町三崎町の漁師物語や民宿、お土産は道の駅伊方きらら館、そして温泉は良質の源泉に浸かれる亀ヶ池温泉というように、佐田岬半島全体で観光振興を図ることができれば理想かなと思う。

【追記】

平成19年8月19日、亀ヶ池温泉はリニューアルオープンしました。早速行って参りましたので、よろしければレポートをご覧ください。

伊方亀ヶ池温泉(再訪)レポート

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